世界中の誰よりも
あ、嬉しそう……。
祐司の表情を見て、胸の中にあった不安が溶けていった。
「あれ、これお前のと似てるな」
あたしのマフラーと色違いだと気づかれて、ギクリとした。
「いや、これはさ、その」
「グレーは結構好きなんだ。サンキュ」
どもるあたしを気にすることもなく、祐司はまたニカッと笑う。
つられてあたしも笑う。
祐司があたしとお揃いのマフラーを嫌がらなかった。
あたしという存在が、一歩祐司に近づけた。
心がふわふわと踊る。
そうこうしている間に、もうあたしの家の前まで来ていた。
「幸?」
不意に後ろから声をかけられる。