世界中の誰よりも
・見えてきた明日
祐司や、加奈子や愛美との距離は確実に縮まっていく。
色付いた木の葉も散りはじめ、格段に冷え込む季節になってきた。
「はぁー、寒いね」
「おはよう、幸」
「おはよう、お母さん」
手をこすりながら席に着くと、母が温かいミルクの入ったカップをくれた。
「ありがとう。あぁ、あったかい」
「温かい格好で出かけるんだぞ」
あたしのちょうど正面に座って新聞を読んでいた父が言う。
「うん、マフラー巻いてく」
この前買ったチェックのマフラーはあたしのお気に入りになった。
祐司も愛用してくれていて、一緒に帰る時は少し照れ臭いんだけどね。