世界中の誰よりも
放課後は信也先輩が教室まで迎えに来てくれた。
加奈子や愛美にひやかされながら、二人で教室を出る。
「幸、何がしたい?」
凛々しい眉の下の、少し垂れた目があたしに向く。
目を合わせることにはまだ慣れなくて、あたしはパッと視線を逸らす。
変に思ったのか、信也先輩は身を屈めて顔を覗いた。
「どした、幸?」
あたしはさらに顔を赤くして、それを必死にごまかす。
「あの、あたし、アイスが食べたいです」
混乱する頭で思い立ったのはそれだった。