世界中の誰よりも

すると多喜さんが何かに気付いて、あっと声を上げた。


「マフラー、お揃いだね」

「ほんとだ。何だよ、そういうことか?」


多喜さんの言葉で気付いた拓海が、祐司に視線をやる。


あ、これはなんか誤解してるなぁ。


すると頭にポンと手の平を乗せられた。


「まぁ、あれだ。幸が俺に夢中みたいだ」


祐司がニヤニヤして言う。


「ちょっと! 変なこと言わないでよ!」


夢中って、あたしが祐司に!?


慌てて否定するけど、祐司には軽くあしらわれる。


違う。
違うもん。

いや……。
違わないのかも。

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