世界中の誰よりも

ふざけ合う祐司と拓海。
それを楽しそうに見守る多喜さん。

多喜さんがあたしにそっと耳打ちをした。


「祐司、照れてる」


祐司が?
まさか。

驚いた顔のあたしをよそに、多喜さんはクスクス笑う。

あたしはなんだかソワソワとした気持ちのままで、学校までの道を歩いた。



あたしが持っている祐司への気持ち。

友達に対するものとも、家族に対するものとも、それは違っている。

だけどその気持ちに名前をつけることは、まだできないで居た。
< 234 / 264 >

この作品をシェア

pagetop