世界中の誰よりも
ぼんやりとそんなことを考えていると、校舎の方から人の気配がした。
「祐司君!」
祐司がこちらに向かって歩いて来ていて、あたしが声をかけると手を振って応えた。
左手には誰かから貰ったのか、花束を持っていた。
あたしはパッと左手を隠す。
「わりぃな、待たせて」
「ううん。もう卒業なんだから、みんなと話したいのが普通だよ」
あたしはそう言って、左手に持っていた花束を祐司に差し出した。
黄色とオレンジの花束。
なんとなく、祐司をイメージした。
「くれるのか? さんきゅ」
祐司は嬉しそうにそれを受け取り、あたしの頭をわしゃわしゃと撫でる。