世界中の誰よりも
「卒業おめでとう、祐司君」
あたしは祐司に頭を撫でられるまま、祐司を見上げて言った。
「あぁ、ありがとう」
ニッと笑う祐司。
あたしも釣られて小さく笑う。
「ね、ベタなんだけど、お願いがある」
「なんだ?」
「ボタンちょうだい?」
あたしは祐司の学ランの第二ボタンを指差した。
こんなの、好きですって言ってるみたいかな。
祐司、変に思うかな。
あたしの心配をよそに、祐司はひとまず花束をあたしに預けると、ボタンを外した。
「ほら」
あたしはそれを受け取ると、少し眺めてからゆっくりと握った。