世界中の誰よりも

「ありがとう」

「おう」


あたしは預かった花束を祐司に返し、貰ったボタンを大事に制服のポケットに入れた。


「幸、元気でな」


祐司が、そう声をかけた。

なんだかこれでお別れみたいな台詞。胸がざわりとした。


「祐司君も、元気でね」


言いたいことは、それじゃないのに。あたしは少し俯く。


「なんだよ、幸。俺が卒業するっていうのに、泣いてくれないのか?」


少し重くなった空気を打ち破るみたいに、祐司がわざとからかうように言う。

あたしはパッと顔を上げた。
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