世界中の誰よりも
「泣かない。だって、さよならじゃないもん……!」
言い終えて、少し泣きそうになるのを堪えた。
泣かないって言ったばかりなんだから。
言いたいことは、まだ残っている。
「あたし、追いかけるよ! あたしも祐司君と同じ大学に行く」
祐司はあたしの言葉に驚いているようだ。
「絶対行くから。あたしのこと忘れないで待ってて」
祐司の手にある花束がふわふわと風に揺れる。
祐司の柔らかい髪も同じように揺れて、きれい。
「大学に入学できたら、言いたいことがあるの。さっきのボタンは、その時まで約束の証として持ってるから」