世界中の誰よりも
あたしは、信也先輩とのデートに夢中になっていた。
信也先輩が時折冗談を言ったり、思い切り笑ったり、その仕種一つ一つにトキメいた。
その甘酸っぱい時間に溺れてしまいそう。
だけど楽しい時間はいつもすぐに過ぎてしまうもの。
ケータイのディスプレイにはあたしの門限に迫る時刻が映される。
「もうこんな時間……」
夢の時間の終わりに気付き、愕然とする。
すると信也先輩があたしの手を引いた。
「あそこの公園で喋らない?」
信也先輩が指差した先には、遊具やベンチもきちんと整備されたキレイな公園。
時間を気にしつつも、あたしは頷いた。