世界中の誰よりも


祐司の卒業から2年遅れて、あたしも高校を無事に卒業した。

加奈子は他県の国立大学に。
愛美は私立短大に。
それぞれ進路を決めている。

そしてあたしも、先日大学の合格発表があって、祐司と同じ大学に見事合格していた。

合格発表の日に、あたしは祐司に電話で報告した。

自分のことみたいに喜んでくれて、「大学でも面倒見てやるよ」と言ってくれた。

約束の言葉は、まだ言っていない。

だけど今日言うつもり。

卒業式の後、会いに来てくれる約束だから。


「ねぇ幸、今日の卒業パーティー行くよね?」

「あたし、少し遅れて行くよ」


加奈子はそれで察してくれたらしく、「待ってるね」と笑ってくれた。
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