世界中の誰よりも
足早に校舎を駆け抜ける。
3年間慣れ親しんだ校舎だけど、感傷に浸ってる場合じゃない。
校門を飛び出すと、あたしが今一番会いたかった人が居た。
「祐司君!」
「幸、卒業おめでとう」
あたしはそれに目一杯の笑顔を返した。
祐司は校門にもたれていた身体を起こして、あたしに向き直る。
「あたし、卒業した」
「うん」
「祐司君と同じ大学にも受かった」
「うん」
祐司はずっと温かい笑顔を携えたまま相槌をくれる。