世界中の誰よりも
あたしはポケットに忍ばせていたボタンを取り出し、祐司に差し出した。
祐司はそれを受け取ると、じっと見つめる。
約束を果たす時が来た。
あたしにとって、受験以上の大勝負。
「祐司君のおかげであたしは変われました。祐司君のおかげで頑張れました」
満開を過ぎた桜が、柔らかな風に揺らされて散る。
「あたしは祐司君が好きです」
この2年間、この台詞を頭の中で何度も何度も練習してきた。
それでも本番になると、やっぱり声が震える。
だけどしっかり伝えなくちゃ。
「あたしを彼女にして、ずっと側に居させてください」