世界中の誰よりも
「では、ご入場下さい」
目の前の扉が開かれて、たくさんの祝福の拍手が聞こえる。
あたしは父と並び、父のエスコートでバージンロードを歩く。
一歩進む度に、思い出す色々な記憶。
家族で行った動物園。
叱られて泣いた日。
母のお弁当の味。
背負ってとせがんでしがみついた、父の背中。
真っすぐに前を見据えると、あたしが共に歩むと決めた、彼の背中が見える。
あたしはあの背中を上手く支えていけるだろうか。
うん。
きっと出来る。
彼となら。