世界中の誰よりも
守られてばかりだったあたし。
一人で生きてるみたいに粋がっていたあたしのことを、いつも心配し、愛してくれた父。
あなたの娘に生まれて、あたしは幸せでした。
父が立ち止まり、祐司と真っすぐに目を合わせてから頭を下げる。
「幸をよろしく頼みます」
「お父さん……」
祐司はしっかりと頷き、あたしに手を差し延べた。
父の腕から、ゆっくりと手をほどく。
そして祐司の手を取り、きゅっと握った。
お父さん、お母さん。
あたしと祐司はきっと、二人のような夫婦になります。
そしてきっとあたしは、誰よりも幸せになれる。
あたしのことを誰よりも、大切に想ってくれる人が居るから。
世界中の、誰よりも。
おわり