世界中の誰よりも

黙ったままのあたしをしばらく睨んでいた父だけど、ついに痺れを切らして口を開く。


「お前は約束も守れないのか?」


あたしにだって色々と事情があるんだ。
すぐに帰れない時や、時間を忘れちゃうことだってある。

あたしはぷいと顔を背けた。


「なんだその態度は! お前は明日から外出禁止だ!」


そう怒鳴ると、父は鼻息を荒くしてリビングに戻って行った。

外出禁止って、ありえないよ。

あたしはそれを聞き入れるつもりもなく、無言で階段を上がった。
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