世界中の誰よりも

部屋に入ったあたしは大きく息を吐く。

鞄を学習机に置くと、あたしはベッドに転がった。


父のせいで、初めてのキスの余韻が薄れてしまった。

なんだかイライラとして、あたしは真っ直ぐな黒髪をくしゃっとかき上げる。


父はまるであたしの全てが気に入らないみたいに見える。

あたしの事情なんて考えもしないんだ。


あたしは信也先輩にメールを送った。ちゃんと帰れたか心配するメールをくれていたから。

信也先輩は優しい。
父とは大違いだ。

あたしは手早くお風呂に入り、そそくさと就寝した。
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