世界中の誰よりも

「じゃあ今は幸せ最高潮だね」


加奈子がそう言うと、あたしは軽く笑った。


「それがそうでもないんだよね」


あたしの顔が若干曇ったのを見て、加奈子と愛美は驚いた様子。


「なに? 先輩と何かあったの!?」

「いや、先輩とは何もないんだけど……」


揃って眉をしかめる二人、加奈子の力強い瞳と愛美のくりくりとした瞳があたしを見つめる。

あたしは父のことを話そうと決めた。


「夕べ外出禁止令出されちゃった」


ははは、と笑うあたしに加奈子が続ける。


「なんで? 理由は?」
< 36 / 264 >

この作品をシェア

pagetop