世界中の誰よりも
「じゃあ今は幸せ最高潮だね」
加奈子がそう言うと、あたしは軽く笑った。
「それがそうでもないんだよね」
あたしの顔が若干曇ったのを見て、加奈子と愛美は驚いた様子。
「なに? 先輩と何かあったの!?」
「いや、先輩とは何もないんだけど……」
揃って眉をしかめる二人、加奈子の力強い瞳と愛美のくりくりとした瞳があたしを見つめる。
あたしは父のことを話そうと決めた。
「夕べ外出禁止令出されちゃった」
ははは、と笑うあたしに加奈子が続ける。
「なんで? 理由は?」