世界中の誰よりも

あたしはストレートパーマをあてた真っ黒な髪をくしゃっとした。


「信也先輩と居て門限破っちゃったんだ」

「それだけで?」


加奈子の言葉に、あたしは少し詰まる。
だけど控えめに言葉を続けた。


「嘘、ついたんだ。友達と居たって。それがバレちゃった」


二人は、そっか、と少し同情の顔を見せた。


「親が厳しいと大変なんだね」


加奈子が言うと隣で愛美もこくこくと頷く。

加奈子の家は放任で、他人に迷惑をかけなければ良いというスタンス。

愛美の家は母子家庭で、お母さんが遅くまで働いているので門限はないに等しい。
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