世界中の誰よりも
その日の放課後、あたしは加奈子と愛美とたっぷり遊んで帰宅した。
玄関を開ける時、また父が待っているのではないかとハラハラした。
だけど出来るだけ何食わぬ顔で扉を開ける。
父は夕べのように仁王立ちしては居なかった。
無言で靴を脱ぎ、キッチンに向かう。
今夜は夕飯をとっていなかったから。
「あら、幸」
お母さんがあたしに気付いて声をかける。
「ご飯ある?」
そう聞くとお母さんは鍋を火にかけ始めた。