世界中の誰よりも

情報紙をぼんやり眺めながらあたしは二人に打ち明ける。


「最近、家が息苦しくてさ」


加奈子は黙って頷き、愛美は情報紙をいたずらにめくりながら聞いている。


「堂々と外に居られる方法がバイトだったんだ。前からやってみたかったしね」


家の中に充満する、重苦しい居心地の悪い空気には、もうウンザリだ。

父とも母とも、出来るかぎり顔を合わせたくない。


若干沈んでしまったあたしに気付いたのか、加奈子があたしの背中をパンと叩いた。
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