世界中の誰よりも

あたしとしてはドーナツ屋さんが有力候補だ。
とりあえず家に帰ってから電話してみることにしよう。

親に言った方が良いよね、一応。
万が一反対されたって、言うことなんか聞かないけど。


あたしは早い時間に家に帰るのは嫌だ。
だけどバイトを早く決めたくてうずうずしてたから、その日は授業が終わってすぐに帰宅した。


玄関を開けて、何も言わずに廊下を通ると、リビングに居た母が驚いた顔でこちらを見た。


｢早いのね、びっくりしたわ。ただいまくらい言いなさいよ｣

｢ただいま｣


あたしは悪びれる風もなくそっけなく答えた。