世界中の誰よりも
そうは言っても親の了解は得ないといけない。
あたしは強引にでもバイトを決めてしまいたかったけど、ぐっと堪えて父の帰りを待つ。
父を待つ間、あたしは二階の自分の部屋でアルバイト情報紙を穴が空くくらい眺めた。
そうしているうちに、あたしの中でバイトへの期待がどんどん膨らんでゆく。
すると一階から母と父のやり取りする声が聞こえた。
程なくして母があたしを呼び、あたしは階段を下りて行った。
母は父から鞄とジャケットを預かり、クローゼットに向かう。
父はキッチンのテーブルのいつもの席についていた。