世界中の誰よりも
あたしの言葉には聞く耳を持たない父に、若干の苛立ちを覚えた。
バイトの条件を忘れて勉強しなかった自分が悪いんだけど。
それにしたって父はあまりにも一方的すぎる。
「あたし、バイト辞めないから」
控えめに睨んであたしは言い切った。
すると父は分厚い手の平をぐっと握りしめた。
「言うことを聞け! バイトは辞めろ! お前に家庭教師をつける!」
家庭教師!?
勢いで言ったのか何だか知らないけど、冗談じゃない。