世界中の誰よりも
信也先輩はしばらく考えたあと、あたしの顔を覗き込んだ。
「うちに来る?」
瞬間、ドキンと胸が跳びはねたのが分かった。
付き合ってからまだ信也先輩の家には行ったことがない。
家に行くってことは、信也先輩のお父さんやお母さんに会ってしまうかもしれない。
ううん、そんな事より、部屋の中に二人きりなんて。
どうしよう。
緊張する。
戸惑っているあたしの様子に気付いてか、信也先輩はあたしの頭にぽんと手を乗せた。
「嫌なら良いんだ。無理するなよ」
違う、嫌なんじゃない。
だけど少し躊躇ってしまう。