世界中の誰よりも
「あたしの部屋は壁がクリーム色で、カーテンは水玉。ぬいぐるみがいっぱいで、子供っぽい部屋です」
少し照れながらあたしは説明する。
信也先輩はニコニコと聞いていた。
「可愛い部屋なんだ。行ってみたいな」
何気なく言った言葉なんだろうけど、あたしはドキドキした。
あたしの部屋に信也先輩を招くなんて、緊張しちゃうな。
それにきっと父は良い顔をしないだろう。
信也先輩にも、あんな父を見られたくない。
「今度は幸の家に行くよ」
そんな信也先輩の言葉に、あたしは曖昧に笑うしかなかった。