世界中の誰よりも

あたしの上に覆いかぶさる信也先輩。

いつもあたしをトキメかせる垂れ気味な瞳は、信じられないくらい鋭かった。

肩を押さえつけられて、身動きがとれない。

お腹の奥からギュッと込み上げる恐怖感。

怖い。


「あの、先輩……待って下さい」


身をよじって信也先輩の腕から抜けようとするけど、先輩はそれを許さない。


「何、ここまで来ておいて拒否るの?」


そのまま強引に唇を押し当てられ、頬や首に舌が這う。

ぞくぞくと少しだけ興奮が覗くけど、遥かに勝る恐怖心があたしを襲う。
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