世界中の誰よりも

黙ったままのあたしに、父は大きくため息をつく。

母が湯呑みにお茶をいれて父に差し出し、父の隣に座った。


見慣れた光景。
あたしには欝陶しいけど、仲の良い両親。

今日だけはなぜか、そんな二人が男と女に見えてしまう。


父もあんな風に母を押し倒したのだろうか。

そして母はそんな父を受け入れたのだろうか。


キタナイ。

キモチワルイ。


見慣れた両親の姿にさえ嫌悪感を抱くのは、あたしがどうかしているのだろうか。
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