世界中の誰よりも

「ごめん! 今日はデートなんだ」


ごめんと言いつつアヤの口元はにやけている。


「デートって、彼氏できたの?」

「康介さんだよ。今良い感じなんだ」


康介さんはアヤのバイトの先輩で大学生だ。
康介さんの友達やマキと一緒に私も一度遊んだことがある。


「うまくいくといいね」


あたしはニッコリ笑ってアヤに言った。

アヤはじゃらじゃらとアクセを着けた腕を掲げて、「絶対ゲットする」と意気込んでいる。


「マキは暇かな?」

「あー、マキは今日バイトだってさ」


あたしはため息をついてうなだれた。
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