世界中の誰よりも
あたしはチョコバナナクレープをかじりながら、何てことのない風に答える。
「別に。ただ、親がムカつくから家に居たくないだけ」
あっさりと言ったけど、嘘じゃない。むしろこれが全てだ。
クリームがこぼれそうになって、慌てて舌で拾う。
「確かにウザイこともあるかもしれないけど、心配してるからじゃないの」
しっかり者の加奈子らしい、優等生の意見だ。
教科書に載りそうなくらいに、お手本みたいな台詞。
「放任な家の子の加奈子には分からないよ」
あたしの返事に加奈子は黙る。