【完結】泣き虫姫のご主人様





 * * *



 九月二日。


 二学期に入り、秋の風が吹き始める。



 そして今日から。



「九月十日の体育祭に向けて今日から練習だよー!」


 担任の明るい声が聞こえた。



 そう、一週間後は体育祭なのだ。



「え゛、嫌だ!」


「疲れる!」


 あちらこちらから苦情が湧き出る。


 まぁ、当然か。



「まぁまぁ! 今年は中学生として最後体育祭なので! 三年生は借り物競争をします!」



 その先生の言葉に、またクラス中からどよめきが起こった。




「先生! 借り物って! 例えば何ですか?」


 クラスでも目立ちたがる男子が、椅子の上ににあがりながら先生に質問した。



 そんなクラスの人間を、澪は冷たい瞳で見つめていた。


 そんなに笑顔になれるなら、どうして皆私たちを無視するの?


 その瞳から、どうしたら……あんな瞳をつくれるのだろう…………。



 そう考えると、不思議でならなかった。





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