【完結】泣き虫姫のご主人様



 * * *


「見たか? 冬歌」



「うん。さっき見た」



 冬歌は呆れたように、ため息をついた。


 そして稚尋も。


「まったく、雛とは長年仲良くやってるけど。本当、気まぐれなんだから」



 冬歌の言葉に、稚尋は冬歌の顔を見ながらため息をついた。



「だれがそう育てたんだよ?女の子は自由に生きるんだーとかって言って」



「え~、冬歌のせい~?」



 稚尋は冬歌の背中を叩いた。



「痛いな」



「雛の真似をするなよ。似てないくせに」



 はぁっと深いため息をつき、稚尋は肩を落とした。




「で? どーすんの」



 明らかに稚尋を馬鹿にしながら、冬歌が聞いた。



「どーするって……」



 正直、あまり状況が飲み込めていない。


 いつの間にか、澪と雛子が仲良くなってるし。


 あの親密度はなんだ?



 雛子のやろうとしている事が、稚尋には全くわからなかった。


 頭を悩ましている稚尋を見て、冬歌は見かねたように口を開いた。



「はぁ……本当、あんたは子供なんだから……」



「なっ……なんだよ! 俺はそんなに子供じゃねぇよ」



 冬歌をにらみつける稚尋を見て、冬歌は稚尋の頬をつまみあげた。




 どこが子供じゃないって?


「子供でしょ。昔の後始末くらい自分でしなさいよ! それができたら、大人って認めてあげるから」


 自分でした事には、最後まで責任を持たなければいけない。


 そうでしょ?稚尋。



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