【完結】泣き虫姫のご主人様



 冬歌は心からそう思った。




『本命……?俺が?』



 何をびっくりしてるんだか。



『そう。もう、雛子は忘れなよ』



 冬歌がそう言うと、稚尋の顔色が曇った。




『二年じゃあ……な。雛は俺の心の支えだったから』


 その支えを、朝宮にしてしまえばいいのに。



 稚尋も、意外と未練たらしい。




『まぁ……頑張れ』




『朝宮かぁーッ!!』



 大丈夫。



 あの日から、あたしは誓ったんだから。



 稚尋の笑顔を取り戻す。



 そのためだったら、何だって協力する。




 冬歌は一度、自分の幸せを味わった。



 今度は稚尋が幸せにならなくちゃ。



 本気でそう、思った。




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