【完結】泣き虫姫のご主人様
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────日曜日────
なぜか澪は、稚尋に言われた通りの場所にちゃんといる。
こんな時ばかり素直になってしまう。
集合場所は、隣町の水族館。
なんで隣町なんだろう?
そんな事を考えながら、澪は稚尋を待った。
そう言えば、今日は初めて学校以外の場所で稚尋と会う。
私、私服変じゃないよね!?
今日の澪は、真っ赤なカチューシャをつけ、爽やかな色のワンピースを着ていた。
気合い入れすぎとかじゃ、ないよね?
あぁっ! なんか緊張する。
澪は頬を赤く染めながら、ワンピースの裾をいじっている。
「何してんだよ……一人で」
聞き覚えのある声が、上からふってきた。
「あ……稚尋!」
稚尋の姿にドキリと澪の胸が高鳴る。
稚尋はジーパンにラフな黒いTシャツ姿だった。
見とれている澪を見て、稚尋はクスッと笑った。
キュンッと、澪の胸が苦しくなる。
「何見つめてんの?」
「みっ……見つめてなんかないよ!!」
「そうかぁ? たくっ……姫は」
そう言って、稚尋はおもむろに澪のワンピースの裾に触れた。
「……一応、デートっぽい格好してんじゃん?」
一気に澪の顔が熱くなる。
「なっ……!!」
「可愛いじゃん」
そう言って、稚尋は澪の手を取った。