【完結】泣き虫姫のご主人様





 * * *


 ────日曜日────



 なぜか澪は、稚尋に言われた通りの場所にちゃんといる。


 こんな時ばかり素直になってしまう。



 集合場所は、隣町の水族館。


 なんで隣町なんだろう?



 そんな事を考えながら、澪は稚尋を待った。





 そう言えば、今日は初めて学校以外の場所で稚尋と会う。


 私、私服変じゃないよね!?


 今日の澪は、真っ赤なカチューシャをつけ、爽やかな色のワンピースを着ていた。



 気合い入れすぎとかじゃ、ないよね?



 あぁっ! なんか緊張する。

 澪は頬を赤く染めながら、ワンピースの裾をいじっている。



「何してんだよ……一人で」



 聞き覚えのある声が、上からふってきた。




「あ……稚尋!」




 稚尋の姿にドキリと澪の胸が高鳴る。



 稚尋はジーパンにラフな黒いTシャツ姿だった。



 見とれている澪を見て、稚尋はクスッと笑った。




 キュンッと、澪の胸が苦しくなる。



「何見つめてんの?」



「みっ……見つめてなんかないよ!!」



「そうかぁ? たくっ……姫は」



 そう言って、稚尋はおもむろに澪のワンピースの裾に触れた。




「……一応、デートっぽい格好してんじゃん?」



 一気に澪の顔が熱くなる。


「なっ……!!」



「可愛いじゃん」



 そう言って、稚尋は澪の手を取った。



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