幽閉マリオネット‐愛故ニ君ヲ‐
彼女が持つ白い翼は、風もないのに小刻みに揺れていた
主人がいない部屋は、恐怖だ
恐怖そのものだ
だから、立つ事もしない
瞬きすら疎かな少女の瞳が動いた
「おかえり、ファウル。」
彼女の口から発せられた言葉は、まるで機械が喋っているかのように冷たかった
「ただいま、メディアナ。」
彼女の瞳一杯に映るのは、愛しい愛しい御主人様の姿
「今日、仕事早い?」
言葉足らずの口で、メディアナと呼ばれた少女は問い掛ける
「今日、メディアナと遊ぶ?」