一匹狼と狼少女
「煙草デスか。」
言い出さない不良に、アタシはふざけたように言ってみた。
「そうデスよ。」
ケッと腕を放す不良。
鐘が鳴る。
授業終了。
「会長ーっ。」
アタシは反射的に、不良の後ろに隠れる。
「あれ、会長見ませんでしたか?」
冬軒(フユノキ)の声。生徒会で書記の人。
不良は馬鹿っぽいけど、臨機応変というのを知っているらしい。
「さぁ?」
首を傾げて、言う。
アタシは口元がつり上がるのを感じて、口元を手で覆う。