一匹狼と狼少女


しばらく黙ってると、寝息が聞こえてきた。

寝たよ、こいつ。

神経が図太い。

つーか、さっき襲うとかどうだとか、自分で言ったクセに。

「おい。」

背中を支えながら、雪村に問いかける。

「…あ。」

渡り廊下から、声が漏れた。

俺はすぐにそっちを見ると、女子がこっちを見ている。

「会長ーっ。」

幸い、俺の姿は樹に隠れていて見えなかった。

女子はすぐに階段を降りてくる。

俺は静かに、雪村を横にして逃げた。




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