一匹狼と狼少女

「あのなぁ、こっちは…。」

煙草がかかってんだからな。

「静かに。」

雪村はネクタイをぐっと引っ張って、奥に行く。

「なんだよ。」

「静かにって言ってるでしょ。」

何かを睨むように、入り口の方を見る。

『…だよな。』

『…先輩が吸ってたよな、煙草。』

は?

俺は飛び出して、つかみかかった。

「おい、そいつ誰だよ。」

一人の襟首を掴んだ。

「…っ。」

もう一人がドアに向かって出て行こうとした。

「…あ。」

明らかにコイツらより背は小さいけど、迫力があった。

狼少女だった。




< 17 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop