一匹狼と狼少女
「あのなぁ、こっちは…。」
煙草がかかってんだからな。
「静かに。」
雪村はネクタイをぐっと引っ張って、奥に行く。
「なんだよ。」
「静かにって言ってるでしょ。」
何かを睨むように、入り口の方を見る。
『…だよな。』
『…先輩が吸ってたよな、煙草。』
は?
俺は飛び出して、つかみかかった。
「おい、そいつ誰だよ。」
一人の襟首を掴んだ。
「…っ。」
もう一人がドアに向かって出て行こうとした。
「…あ。」
明らかにコイツらより背は小さいけど、迫力があった。
狼少女だった。