一匹狼と狼少女
百合.July
ある夏の暑い日。
窓が開いてると風が入ってくるが、入ってくるのは風だけではない。
「あつー…。」
蒼は気分悪そうに、へばっている。
「お前、保健室行けよ。」
龍也は下敷きをパタパタと扇いでいる。
「アタシにも。」
親指で自分を示す蒼。
龍也は扇いだ。
「お前、みんなの前と俺の前ではエラい違いだな。」
「何がかしら、佐伯君?」
ケロリと笑顔を作る蒼。
「怖えー。」
龍也は顔を強ばらせた。