一匹狼と狼少女
蒼が俺の後ろから顔を出す。
その男子生徒は蒼の顔を見ると真っ白な顔をしてプールサイドに上がった。
細い体だった。
こんなのが静かに泳いでいたら、確かに人魚と間違える…かもしれない。
「すいませんでしたぁ!」
土下座をした。
いきなり大きい声をだしたから、後ろの蒼がビクッと震えた。
「本当に、お許し下さい!」
「あの…。」
男子の声で蒼の言葉が探ろうとする。
「許可なしにプールに入ったのは本当に申し訳ないと思ってます。でもですね、大会が近くて…」
「おい、人魚だかなんだか知らねーけど。一回黙れ。」
俺は言った。