一匹狼と狼少女

「綺麗な月だね。」

何事もなかったように、月を見上げる蒼。

「…あぁ。」

「何?そのうかない返事は。夏が近いっていうのに。」

てか、なんで俺らは学校の塀に座ってんだろうか?

「夏休み、龍也はどっか行く予定ある?」

膝を立ててすわる。

「クラスの奴と海。」

「この学校最後の夏の思い出つくり?」

ふざけたように聞いてきた。

その顔は、何かを憐れむような顔。






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