一匹狼と狼少女
「リューっ。」
おいおい、授業中なんだけど。
その言葉を飲み込んで、俺は他クラスの体育をやってる女子を見る。
みんながキャーキャー騒ぐ中で、こっちを見ている女子がいた。
酷く冷めた目で。
背中がゾクリとした。
その女子は、隣の女子に何かを聞くと次は笑顔でこっちを向いた。
俺は顔が引きつるような感覚を覚えながら、窓を閉めた。
本能的にあの女が怖いと思った。
少し、安心した。
俺はまだ、何かを恐れることができる。