一匹狼と狼少女
野薊.August
夏休みに入った。
蒼は、新幹線に乗っていた。
窓に頭を寄りかけて、眠りについていた。
隣には、広がいる。
通路の向こうには、冬軒と松本が並んでいた。
窓の外に海が見えて来る。
「お前ら着いたぞ、起きろよ。」
生徒会メンバーの中で、唯一起きている広が三人を起こした。
「あっつい。」
頭より一回り大きい麦藁帽子をかぶって、蒼は日陰を歩く。
「会長、倒れないで下さいね。着いたらすぐに挨拶ですから。」
冬軒は持っているプリントで蒼を扇ぐ。
今日は、生徒会の話し合いに臨海学校に来ているのだ。