一匹狼と狼少女
「なんでキスしたの?」
ベンチに座って、顔を覗いた。
「…本能。」
「それは聞いた。」
「だったら他に理由なんてあんの?」
ダルそうにこっちに顔を向けた龍也はやっぱり不良だと思った。
アタシは視線を逸らして池の方を見る。
「…なんでもない。」
アタシだって、一応女だし、乙女だ。
恋愛観というモノも持っている。
別に、龍也の事は嫌いじゃない。
ただ相手の心の内を知りたいだけ。
「好きだから。」
頬を掴まれて、龍也の方へ向く。