一匹狼と狼少女
いきなり言われた言葉に意味がわからなかった。
「は?」
雰囲気に合わないアタシの声が聞こえた。
「蒼…。」
少しがっかりしたような龍也。
「ごめん。」
なんでか謝る。
アタシが悪いの?
顔が近付いた。
唇が重なる少し前。
「惚れた。」
照れる間もなく、角度を変えて唇が重なった。
長い間キスをしていた。
「腹減った。」
龍也がベンチに片足を乗せていた。
「あ、そっか。」
もう少しで朝食の時間だっけ。
アタシはベンチから立とうとしたら、龍也がアタシの体に巻き付いていた腕に力をこめた。
「何?」
龍也を見上げた。
なんだか、懐かしい気がした。
ずっと前からこんなに近かったような。