一匹狼と狼少女

「何だろ?あの壺。」

あたしは言う。

「変な事に気づくよな。」

呆れた顔で返された。

ちょっと龍也を睨んで、女将さんに近づいた。

聞いてみたら、女将さんは笑顔で答えてくれた。

「これ、一千万する壺なんですよ。」

あんまりアッサリと言葉が出るから、リアクションに困った。

「どこがですか?」

アタシは聞き返す。

「これです。」

女将さんは、壺を振っている。

カラカラ…と音がした。

「何か入ってるんですか?」

「宝石だって言われてるんですけどねぇ。」

クスクスと笑っている。

本当かどうか、わからないらしい。




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