一匹狼と狼少女
芙蓉
「尾崎いなくね?」
楓の声にメンバーが辺りを見回す。
今から帰るって時に…。
「あ、いた。」
原島はロビーの受付の辺りを見て言った。
そこには、不機嫌そうな尾崎がいた。
この短時間で何があったのだろうか。
俺は荷物を持ち直す。
その時、何かが壊れるようなガシャーンという音がした。
そこらにいた人が、音のした方を向く。
「何だ?」
皿の割れるような音だったけど、それよりも重たいような…。
周りの人間が野次馬になって、そっちに行く。
「俺らも行こーぜ。」
野次馬大好きな楓が、荷物を置いて走ってしまった。