一匹狼と狼少女
期待に応えられなくて悪いけど、俺は体に悪いことはしない。
「嘘をつくな!」
なんで大人はこうやってすぐに感情的になるんだろ。
「やってません。」
「目撃者もいる。」
目撃者って、俺は犯人かよ。
睨もうとしたら、声が横から入ってきた。
「先生、頼まれた資料です。」
俺はソイツを見て、目を見開いた。
「おい、雪村。俺は今、佐伯になぁ…。」
「宮澤先生が呼んでいました、資料室です。」
例の女子は、淡々と話を続けた。
「この話は後だ。」
それだけ言って、生徒指導は職員室から出て行った。
「睨んだら、逆効果だから。」
雪村と呼ばれたその女子は、馬鹿だね、という目でこっちを見た。
そして、言うだけ言うと出て行く。