一匹狼と狼少女

さすがについさっきまで夏だったように、暑さが抜けない。

「…出し物って喫茶店?」

「今決まった。」

蒼はパタパタと手を団扇のようにして扇ぐ。

何かを見るように、龍也から視線を外して窓の外に移す。

「…面倒。」

その言葉に龍也はフッと笑い、小さく呟く。

「頑張れよ、蒼。」

オレンジに染まりかけた紅葉が一枚。

校庭に落ちた。







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