一匹狼と狼少女

「…会長!!」

松本がアタシの行動に気付いて、怒鳴る。

アタシは、窓枠に足をかけて飛び出た。

生徒会室は一階だから、出れば校庭に出る。

「15分だけ!」

そんな出来ないような言葉を残して上履きのまま裏庭に向かった。

龍也がいて、微笑みかけようとしたら足が止まる。

何してんのあの女。

一気に心が冷めた。

「…佐伯ー、土曜日は?」

「無理。」

「じゃあ日曜?」

「俺、彼女いるから無理だっつってんだろ?」

あの女は、龍也の腕にすがるようにくっついていた。

「あの彼女のどこが好きなの?」

声が震えている。





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